Hakurokin’s 縁側生活

アルコール依存症/うつ病/リハビリブログ

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

Blog21・Kが見たレーニとブロックの日常的性倒錯とその利得

フルト弁護士は今日一日ブロックが何をしていたか、もう一度レーニに問いただす。レーニはいう。「いつも彼がとまる女中部屋に閉じこめておきました」。<監禁>のテーマが浮上する。また「隙間(すきま)からときおり彼が何をしているか見ました」と言い、…

Blog21・男性たちの<あいだ>を取り継ぐ<貨幣=言語>としてのレーニ

フルト弁護士はKに誤解されがちなレーニの態度について説明する。 「『実はそれがレーニの変ったところで。わたしは前に大目に見てやることにしているし、だからいまあなたがドアに鍵をかけなかったら話す気もならなかったが。その変ったところというのはー…

Blog21・Kを嗤うブロックの生活様式と二十一世紀的生活スタイルの類似性および<狂気>

Kとブロックが話し合っている様子を見たレーニは挑発的な嘲りを込めた調子でいう。同性愛的態度を嫉妬深げに皮肉っているわけだが実際二人は「ちょっと向きをかえても頭がぶつかるくらいぴったりくっついて坐(すわ)っていた」。 「『まあ二人して仲良くく…

Blog21・商人ブロックがKに語る<ひとりでに増殖する>諸問題

Kはフルト弁護士への弁護依頼を解約するため、通い始めてもう半年ほどになる裁判所事務局のある貧民街の建物へ向かった。叔父に紹介された弁護士だ。玄関ドアのベルを鳴らしたが反応がない。普段ならレーニが出てくるはずなのだが。Kは二度目のベルを押しな…

Blog21・Kの訴訟<引き延ばし>と資本主義的永遠回帰のパラレル性

もう一つの手法「引延し」について語るティトレリ。ティトレリはKが逮捕された以上、完全な無罪判決を得る見込みは絶対的になく、<ない>ことこそもはや自明だと確信して語っている。一方Kは、その中にもしかしたらまだ無罪判決を手に入れる要素が見出せる…

Blog21・Kから読者への遺産=《位置決定不可能性》

Kが本当に潔白であればあるほど、にもかかわらず逮捕されたからには完全な無罪判決を勝ち取ることはもはや絶対にないと言ったティトレリ。しかしそこで完全な無罪判決は除外するにしてもティトレリの立場から助言でき、なおかつ手に入れられる可能な限り有利…

Blog21・<蝶番(ちょうつがい)が外れてしまう>アトリエの奇妙な設計

ティトレリの話を聞いているKには何か根本的に矛盾しているとしか思えない点がある。それを指摘するとティトレリはいう。 「『公けの裁判所の背後で試みられていることは、いささか事情が違うんです。背後とはつまり、審議室とか、廊下とか、あるいは、たと…

Blog21・Kが見つめKを見つめる狭すぎるアトリエと<少女たち>

ティトレリのアトリエ。Kはその極端な狭さに驚く。 「Kはそのあいだに部屋を見まわした。こんなにみじめでちっぽけな部屋をアトリエと呼ぶなんて、彼一人では考えつかなかったろう。間口奥行きとも大股(おおまた)で二歩以上は歩けまい」(カフカ「審判・弁…

Blog21・Kを監視しつつ案内する<少女たち>の系列

ティトレリの住居へ向かうK。裁判所事務局のある郊外の貧しい住宅街よりもさらに荒廃の激しい地区のアパートの一室。カフカの描写はその「みすぼらしい界隈(かいわい)」について十行程度にまとめているが、風景描写という点ではカフカが若い頃に愛読したデ…

Blog21・Kの業務放棄と国家権力の脱中心性

フルト弁護士に失望したKは自分だけでよりいっそう繊細に注意深く訴訟を押し進めていく必要性を痛感する。もっとも、そういう考えに立ち至ったのは銀行にある自分の事務室の中。思い出せば思い出すほど訴訟の弁護をフルト弁護士任せにしていることがたまらな…

Blog21・<訴訟>としてのKへの変換

叔父に紹介されたフルト弁護士に何度か会ったK。その時の様子を思い返しているKについてカフカは「訴訟のことがもう頭から離れなくなっていた」と述べる。Kはもはや<訴訟を欲望している>としか思われないかのようだ。銀行の自分の事務室でKはフルト弁護士…

Blog21・Kを脱出させる<動物>としてのレーニ/視聴者を<処刑機械>へ送り込む現代日本のお茶の間コメンテーター

手の指と指とのあいだに「水掻(みずか)きがついている」レーニ。Kは瞬時に心を奪われレーニにキスする。レーニはKの膝にのぼってさらに近づくと「彼女から胡椒(こしょう)のようなぴりっとする刺戟臭(しげきしゅう)がただよった」。明らかに人間の女性…

Blog21・新しい<援助者>レーニと「譲歩=有罪」の残酷

レーニがKを呼び入れたのは弁護士の書斎。部屋に「法官服を着た男の絵」が架かっている。どのように描かれているか。こうある。 「高い玉座のような椅子に坐っていて、椅子の金色が絵からきわだって見えた。ただその絵の奇妙なところは、この裁判官は落着き…

Blog21・Kにとってのエルナとレーニ/修正不可能な叔父の二十年

Kのところに叔父アルバートがやって来た。Kが呼んだわけではない。Kの叔父アルバートの娘エルナの手紙が叔父をKのもとに向かわせた。叔父はKにとって社会機構を代表する一人である。だが娘エルナは直接的に代表するわけではなく、そこから「派遣」される<娼…

Blog21・Kが見た<規則正しさ>とK自身の両義性

一度始まった笞刑は笞刑吏に与えられた義務である。だから容赦がない、というべきだろうか。監視人の一人フランツはすでに「痙攣(けいれん)しながら床を両手でかきむしっ」ている。この様子ではいずれ死ぬことになるだろう。笞刑に処するという判断が出さ…

Blog21・Kが見た「物置小屋」と「拷問部屋」との置き換え

しばらく経った或る日。Kは遅くまで仕事をしていたためすでに夜になっている。ふと、ただならぬ音が「廊下」に低く響いているのに気づいた。裁判所事務局ではなく、Kが務める銀行「廊下」。「Kが彼の事務室と中央階段をへだてる廊下を通りかかる」。と、「あ…

Blog21・Kにとって裁判所事務局とは何か

見るものはもう見たと思ったKはできるだけ早くこの場から立ち去りたいと廷吏をせかす。声が大きかったのか廷吏のほかに娘が一人やって来た。「なにかご用でしょうか」という。よく見るとさらに男がもう一人近づいてきた。Kはただ単なる興味本位から裁判所事…

Blog21・Kを過労させる「長い廊下」

《裁判所事務局上り口》とある札を見つけたKに下級廷吏が声をかけてきた。大学生に担がれたままあれよという間にどこかへ連れ去られてしまった女の夫である。もし事務局の中に関心があるなら見学できますよと廷吏はいう。Kは話に乗った。そして「廷吏より早…

Blog21・<洗濯女>の誘惑と阻止/行き詰まったKに次のドアを開く援助者<娼婦・女中・姉妹>の系列

Kは洗濯女に訊ねる。あなたは本当に予審判事を知っているのかと。女は「もちろん」と答える。返事は極力短くあるべき世界だ。Kはすでに思い知らされている。その意味で女性の応答は正しい。ところが女性は予審判事について「知っている」理由をあれこれべら…

Blog21・Kの気づかない<法の欲望>/エロティシズム・社会的地位・贈収賄

捨て台詞を残して会場を後にしたK。しかし裁判も終わったとは考えられない。判決が出ていない以上、今なお逮捕された状態であるのかもう解放された身であるのかさっぱりだからでもある。Kは首を長くして通知が来るのを待っていた。たった一週間だというのに…

Blog21・Kをとりまく<法の欲望>と<見せかけ>としての党派対立

Kは壇上にあがって演説を始める。審理の場で演説は必要なのだろうか。群衆を前にしたKにとって演説は必要でありかおかつそれはあくまで説明のための行為に過ぎない。そしてこの過程なくして審理を前に進めることはできないとKは思っている。なるほどヘーゲル…

Blog21・Kの<最初の審理>とヘーゲル的戦略/いきなり陥る不可解状況

Kの審理は日曜日に行われると伝えられた。短期間でかなり頻繁に行われるとこと。というのは、訴訟というものはできるだけ速やかに済ませていかなければならないと同時に過失があってはならないし、だからといって延々と長引かせるわけにもいかないため、短い…

Blog21・Kの隣人女性ビュルストナーとは誰か/グルーバッハ夫人発言の両義性

その夜の十一時半ごろ、隣人のビュルストナーが帰宅した。Kは今朝起ったことをビュルストナーに説明しなくてはと思い、ビュルストナーの了解を得た上で今朝の状況を再演して見せた。途中、Kは、監督官がKの名を呼ぶ声を真似て思いがけず大きな声を出してしま…

Blog21・転倒としてのKの職場復帰/《まなざし》としての監視管理社会

Kは事態収集のため和解という方法を提案する。Kが監督官と握手すればそれですべては収まるに違いないとおもう。ところが監督官はとっさに反応して見せる。和解など、とんでもない話だと。Kは逮捕され、逮捕されたことをKは認めた。そのことを確認することだ…

Blog21・法とK・<欲望する掟>の密集地=「廊下・物置小屋・舞台裏」

二人の監視人がKを呼んで言った。監督官がやって来たのでKは監督官に会わねばならない。しかし寝巻姿のまま監督官に会うというのはまるで考えられもしない愚行である。だから着替えたほうがいい。と監視人たちは執拗にそう言う。しぶしぶだがKは衣服を着替え…

Blog21・逮捕されたK/<監視への欲望>の生産

或る朝目覚めると、まるで身に覚えのない罪を着せられ「逮捕」されたK。逮捕しに来た監視人はフランツとヴィレムの二人。Kは不愉快この上ない。それでもとにかく逮捕するというのなら「逮捕令状」を提示してほしいとKは主張し、K自身の側は自分の「身分証明…

Blog21・「城」化したネット世界の可分的責任性/モザイクとしての人間

縉紳館のお内儀はKに説明する。Kが廊下に立っていたばっかりに「きょうの書類分配」は極めて困難な状況へ変ってしまったのだと。縉紳館はその主人とお内儀の家にほかならない。にもかかわらず役人たちの「書類分配」がどのようなものなのか主人もお内儀も「…

Blog21・<動物への意志>を持たない近代人Kの悲劇

廊下に響き渡る役人の「どなり声」や「ドアを急いで開閉する音」。それらはしかし「間歇(かんけつ)的」である。必然的繋がりが一つも感じられない。偶然的かとおもえば必然的でもあり必然的かとおもえば偶然的である。どちらとも言えない。だが偶然だろう…