2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧
ブロックの妹と元女優との同性愛はどうなったのか。<私>とアルベルチーヌとブロックとの三人がカジノから出た時ちょうど、二人は大っぴらにはしゃぎながら歩いていくところだった。 「そしてある夜、私が、アルベルチーヌと、たまたま出会ったブロックとの…
ニッシム・ベルナールはグランドホテルに勤務する一人の「若いボーイ」を愛人として囲っていたわけだが、ただそれだけのことを述べるためにのみ登場した人物ではない。それだけのことなら作品のあちこちに散りばめられたシャルリュスの言動を見れば十分だろ…
アルベルチーヌの「誓い」にもかかわらず疑念の収まらない<私>。ところがこの年、アンドレはロズモンドやジゼルとともにリゾートシーズン最盛期頃にはさっさとバルベックを離れて帰る予定だという。とはいってもそれまでまだ数週間ある。そこで<私>の不…
<私>にとって「よく効く鎮静剤」としての「誓いの言葉」。その効果を永続的なものにするためには「私はその夜のうちに発って、二度とアルベルチーヌに会わずにいるべきであった」。とすれば<私>にとって、次の二箇所で述べられていることは確実であるよ…
アンドレを愛していることにしつつ、<私>は、アンドレの大親友アルベルチーヌに問いかける、というより大芝居を打ってみる。「その暮らしぶりについて人からどんなうわさ話を聞いたかを伝え、同じ悪徳に染まる女たちには深い嫌悪を覚えるとはいえ、きみの…
政治や愛人関係で、と断った上でプルーストはいう。それらの関係修復のためには「あまりにも多くの要素が介在する」だけでなく「介在する要素が多すぎるせいで、最終的には金銭によって微笑む人でも、金銭と微笑みを結びつけるその人なりの内的プロセスをう…
プルーストは愛している側の人間が陥りがちな傾向について或る種の病気の症状に喩えている。一時的に快方に向かっても何か些細なきっかけで再び重症に陥ってしまう状態にあるような病状として語る。「治ったとたん、疑念はべつの形でぶりかえす」というよう…
また或る日のこと。<私>はバルベックのカジノのダンスホールでアルベルチーヌやアンドレたちのグループと一緒にいたところ、ブロックの妹とその従妹(いとこ)がやって来た。この従妹はレア嬢という女優と同棲していることで有名だった。レア嬢については…
<私>がアンフルヴィルまで同行しようという提案はアルベルチーヌの当初の計画を変更させた。アンフルヴィル行きを諦めて<私>と一日を過ごす側を取った。そうすればアルベルチーヌは<私>の前で堂々と開き直って発言できるし実際開き直ってばんばん発言…
アンカルヴィルのカジノでアルベルチーヌとアンドレとが踊っている光景をただ単に眺めていた<私>にコタールが告げた言葉「あのふたりは間違いなく快楽の絶頂に達していますよ」。その瞬間、<私>は二人の踊りをただ単純素朴に眺めているのではなく二人の…
或る日、ヴェルデュラン夫人を訪ねようと出かけた<私>。ところが途中でローカル線が故障を起こしアンカルヴィルで足止めをくうことになった。復旧まで周辺をうろうろと時間潰ししていたところ、アンカルヴィルに往診に来ていた医師のコタールに出くわした…
わざわざ数頁を割いて作品の中へ盛り込む必然性を必ずしも感じないエピソードが続いている。この種の必然性は読者には感じられなくてもプルーストにとってはのっぴきならない命題だった。例えば、グランドホテルのエレベーターボーイの一人が用いる珍妙な癖…
二度目のバルベック滞在だが<私>には最初と比べてすっかり変わったところがある。<習慣・因習>に捉われない態度を身につけていたことだ。 「あるいはなによりも、かつて意図的に遠ざけていたさまざまな要素に留意するようエルスチールから教えられた私の…
アルベルチーヌはすでに数日前からバルベックに到着していた。ところが<私>の側は突如として不可避的に訪れた祖母に関する「喪の作業」に集中することを余儀なくされたため、アルベルチーヌとの再会を先延ばしにしていた。祖母は一年も前に死んでいるわけ…
プルーストはいう。「愛する人を失ったとたん、文字どおりこちらの生命までも長いあいだ、ときには永久に奪ってしまう悲嘆」。次に「悲嘆」という言葉は同じでも「私の悲嘆のように、なんといっても一時的で、到来するのも遅ければ立ち去るのも早い悲嘆、そ…
ところでなぜ「私が祖母を本当に想い出すことができるのは、ひとえに苦痛を通じてである」のか。それは最初のバルベック滞在時、サン=ルーが先にバルベックを発つ前、祖母に向かって「写真を撮ってあげましょうか」と提案した時、祖母が見せた身振りから生じ…
二度目のバルベック滞在。「最初の夜、疲労のせいで心臓の動悸が激しくて苦しくなった私は、その苦痛をなんとか抑えながら、ゆっくり用心ぶかく身をかがめて靴をぬごうとした」。その瞬間、祖母が死んでもう一年以上経っているにもかかわらず、もっとも愛情…
社交界の中でたびたび起こる個人的地位の上昇と下降とについて<私>はこれまで社交界自体の変化ではなくあくまで個人的価値の上昇・下降に過ぎないと考えてきた。例えば「だれひとり知り合いのいなかった同じ婦人がみなの館を訪れるようになったり、主導的…
ジルベルトとの関係はもはや破綻している。そしてジルベルトとはまた違った新しい形で出現したアルベルチーヌとの関係に、いずれ訪れるであろう暗い破局の予兆を思い描かずにはいかない<私>。そんな折り、「ある現象が生じた」。プルーストがそれを取り上…
アルベルチーヌが部屋に入ってきた時、<私>はジルベルトに手紙を書いているふりをしていた。アルベルチーヌと会い、キスと愛撫とで一通りの安堵を得た<私>。とはいえアルベルチーヌが帰っていくと、もはや愛していないジルベルトへの手紙の続きを書き上…
余りにも夜遅く訪ねてきたアルベルチーヌについて、その服装にも「軽蔑と愚弄」を意味する笑いを付け加えて<私>に告げたフランソワーズ。<私>はアルベルチーヌが馬鹿にされたと感じ、思い切ってフランソワーズに言い返す。 「フランソワーズにつぎのよう…
<私>はアルベルチーヌがなぜ「こんな遅い時間に来たのだろう?」と、すっとぼけた口調でフランソワーズに聞いてみた。ところがフランソワーズは<私>の身振り一つ見逃さずその意味を常に正確に理解する人物である。「私は、なんら真実を含まないことばを…
<私>の部屋を訪問すると約束したアルベルチーヌは大幅に遅刻した。なぜ大幅遅刻なのか。アルベルチーヌはその理由を<フェードル>観劇「なんかに行かなければよかったわ、こんな面倒なことになるってわかっていたら」という。しかし<フェードル>観劇を…
帰宅したアパルトマンの「控えの間(ま)」でアルベルチーヌを待ち焦がれる<私>。 「ゲルマント邸での夜会のあいだは三分たりとも想いうかべなかったアルベルチーヌに、今やこれほど激しい不安をおぼえる始末だ!しかも、以前ほかの娘たちにたいして、とり…
ゲルマント公爵夫妻と別れて帰宅した<私>。フランソワーズにアルベルチーヌが来ているかどうかと訊ねる。ところが誰一人来ていないという。<私>はたちまち動揺する。なぜなら「アルベルチーヌの訪問が確かなものでなくなると、それが今やことさら欲望を…
夜会の帰り、同じ馬車に乗るゲルマント侯爵夫人の目の前であるにもかかわらず、<私>の思いはもはや夫人から遠く離れ去ってまるで別の女性たちのことへ移動していた。「売春宿に出入りする高貴な生まれの令嬢と、ピュトビュス男爵夫人の小間使いのこと」で…
ゲルマント公爵夫人は夫のゲルマント公爵がその弟シャルリュスと話す時、いつも嬉々として昔話に興じているのを見る。夫人は疎外感を覚え、つねづね嫉妬を抱いている。さらにこの日の夜会では、夫の愛人シュルジ夫人と夫の弟シャルリュスが大変仲良さそうに…
帰り際、スワンは<私>にいう。「ジルベルトにぜひ会いに来てください」。しかし<私>の気持ちはもうジルベルトから離れてしまっている。なるほど愛していた時期はあった。「愛していたときは、愛さなくなったらもう会いたいとも思わぬことを見せつけてや…
ゲルマント大公にとって唯一心を許して告白することができる相談相手スワン。格調が高く規模も大きい大公のサロンであるにもかかわらずなぜスワン一人しかいないのか。理由はスワンの二重性にあると述べた。ユダヤ人・株式仲買人(売人)・芸術に秀でた文化…
シャルリュスが持ち前の毒舌を用いて語ったサン=トゥーヴェルト夫人評から始まり、スワンによるシュルジ夫人の胸の<覗き見>、さらにジャン=マルク・ナティエ「シャトールー公爵夫人(ルイ・ラ・トゥールネル侯爵夫人)」の肖像画への「殺戮(さつりく)の…