2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧
前回、NHK「朝ドラ」について述べた。しかしそれがステレオタイプなのはなぜか、という点についてまで述べたわけではない。個別的事例を上げるに留めた。今回は「ステレオタイプ」自身について少し述べてみよう。 世の中を支配するためには「ステレオタイプ…
神奈川県川崎市で理由のはっきりしない連続殺傷事件が発生した。それでもNHK「朝ドラ」を見た視聴者が多いのはなぜだろう。もし連続殺傷事件が発生していなかったとしたらどうだろう。それでもNHK「朝ドラ」を見た視聴者数にほとんど多寡はなかったと想定さ…
女性の人工妊娠中絶の権利。権利は歴史的闘争を経て獲得されたものである。アメリカの州法がどのような展開を見せるにせよ、獲得された権利をみすみす手放すことには反対を表明するしかない。それについては二回ほどに分けて述べたのでここでは繰り返さない…
EUは資本主義の未来の先取りとして成立した。たとえばフランスにとってはフランスの快楽追求意志の過程であり、まだまだ過程でしかない。にもかかわらず、すでに放棄されようとしている。ルペン率いる極右政党の躍進はほんのいっときの感情的時間による支配…
「風習の道徳」化。実に多様な諸存在があったにもかかわらず、「別様の感じ方」をした様々な人々は共同体から排除され抹殺されてきた。そして風習の道徳にしたがい馴らされ平板化され凡庸化され記号化され薄っぺらにされた人々だけが社会を構成するようにな…
アンティゴネはたった一人なのか。むしろ分身していないだろうか。一人の「アンティゴネ」から何か様々な性格あるいは人格の入り混じったものを取り出すことはいけないことなのだろうか。アンティゴネは一族間の闘争の末、テーバイにある母方の叔父・クレオ…
丸山議員「戦争発言」問題。議員辞職するとかしないとかは、最終的には、議会に任せるしかないだろう。賛成であれ反対であれ。それよりもっと興味深い問題が隠されている。それはヘーゲルが使い分けている「享楽」と「快楽」との違いだ。 もしその言動が自分…
地方銀行が苦境に置かれているらしい。本業である金貸が成り立たなくなってきた。アベノミクスの失敗、といえばそれまでのことだ。しかし問題はこのような失敗を繰り返さないためにはどうしたらよいのかという建設的議論でなければならない。ところがそれは…
社会的文法化されていないものは目に入らない。耳にも届かない。身体で感じ取ることもできない。なぜなのか。習慣化されてしまたったからだ。それ以外の別の感じ方をした人々は人間界から殺戮排除され葬り去られてきた。だから今の人間が話したり聞いたり見…
マスコミの論旨を読もうと努力している。しかし最近とみに、日本政府による「働き方改革」提唱以来、何が言いたいのかさっぱりわからなくなってきた。「失われた世代」を救うとか考えるとか何とかいう。一方、だったら後期高齢者はどうすればよいのか。後期…
マスコミはいう。食品ロス解消のための「実質値下げ」と。果たしてそうか。「もったいない」という批判を受けたからといって大企業の側から率先してそのような一見「良心的」に映って見える規則を社会で正規化するだろうか。世界的経済動向を見る必要がある…
ベルクソンのいう「超人」について後で述べるといっておいた。というのは特にヴァージニア・ウルフと関係がないとおもわれるからである。むしろ切り離して考えたほうががいいだろうと思うからだ。「超人」に関して述べるとすればニーチェを参照したほうがい…
用意していた部分を忘れていた。こういうこともある。順に述べていこう。事務処理能力に長けていたルイスは実業家になっている。相変わらず「屋根裏住まい」なのだが。とはいえ若年のうちはそんなものだ。「署名」ということ。刻印といえば様々なレベルが想…
陽だまりが揺れる、というけれど、陽だまりや木洩れ陽の揺らめきをぼうっと眺めるのが結構好きでもある。幼い頃から。個人的には。しょっちゅう下を向いてばかりいるものだから周囲からよくからかわれもした。しかしあの頃の記憶には忘れがたいものがある。…
バーナードは慌てている。自分たちだけの大切な「環」の消滅が決定的になりそうなので。「いやに早く貪欲な同化の瞬間が過ぎ」去る、と感じる。そして「石が沈められ」、つまらない現実が戻ってくる。とはいえバーナードは、現実社会はつまらないといってい…
人間は言語によって「作られ」、言語によって「作り直される」。バーナードは他人に言語を与える言語化職人に《なる》。そして時々刻々と変化していく他人に新しい言語を与えて他人を更新させる。他人はまるで衣替えでも済ますようにいとも簡単に言語として…
仲間たちがそれぞれに「目的を持っている」という意味では、ローダは目的を持っていない。単純に思索型である。しかし思索し抜く「力」としてのローダには仲間たちの誰もおよばない。ローダは仲間たちが「臭跡を追う犬の眼」を持っていると考える。ところが…
バーナードは「此処にこうして僕たちが一緒にいる」ことを一つの奇跡のように感じる。それはパーシバルに寄せる仲間たちによってもたらされた「愛情」のゆえなのだろうかと考える。 「『でも此処にこうして僕たちが一緒にいるーーーみんな一緒にやって来た。…
バーナードは言語化能力に優れている。これまで何度も見てきた通りだ。バーナード自身、自分で自分自身の言語化能力を頼みにしている。何事も言語化しないではいられない。言語化されていないものを周囲に見つけると、バーナードはいらいらしたり不安でいら…
ローダの生成変化。このシーンでは生成変化にかかわる根拠であり根拠のなさでもある「少女」への生成変化が見られる。「二十一」という年齢が出てくるには出てくるが、それは「ダロウェイ夫人」がすでにそうだったように、常に移動する可能的様態のうちに配…
スーザンはここで一挙に生成変化を遂げる。 「『でも私は誰なのかしら。ーーー時々(まだ二十にはなっていないわ)私は女でなくって、この門の上に、この地上に落ちる光のような気がするの。私は季節なの、時々そう思うわ。一月で、五月で、十一月で、泥で霧…
バーナードはルイスを事務処理能力に長けた人間だとおもっている。しかしルイス自身は自分のことをどう考えているのだろうか。 「『でも駄目だ(みんな通り過ぎて行く。みんな不規則な行列を作って通り過ぎて行く)。僕は確信をもって本を読むこともできなけ…
「霧」は時々いたずらをする。霧の中に包まれている間、人々は、霧の内部で急速に何が行われているかを知ることができない。人々が知ることができるのは、霧が去った後の世界でしかない。そして霧の後、内部はしばしば編集され書き換えられている。 「『霧と…
次のセンテンスはやや難解かもしれない。バーナードはいう。 「『そのお前は、今夜僕のしゃべっていることでは、ほんの皮相的に、僕は自分を示しているに過ぎないということを知っている。僕が自分の本質と最も相違していれば、その節、その時には、又僕は総…